【読書】悪の猿【ややネタバレ】
お世話になります。El Pinoです
「悪の猿」(JD バーカー著/ハーパーBooks)を読みました。
「見ざる・聞かざる・言わざる」になぞらえ切り取った被害者の部位を家族に送りつけた後に惨殺する手口でシカゴを震撼させる殺人鬼「四猿/4MK」。
四猿事件を追っていたが休職中のシカゴ市警刑事ポーターの元に四猿と思われる男がバスに轢かれて死亡したという連絡が入り……。という感じスリラー。
轢かれた男の所持品に含まれていた男の幼少期の日記と現在のシカゴ市警の捜査が交互に描かれるスタイルで、一つ一つのセクションが短く読みやすい構成になっていました。
犯行内容としてはモチーフとなる三猿の「悪を見ざる、悪を聞かざる、悪を言わざる」に「悪をしざる」を加えた四猿として、眼球・耳・舌を切り取った上で最終的に殺人を行うのですが、ノリとしては七つの大罪をモチーフにした連続殺人事件を描いたデヴィッド・フィンチャーの映画「SEVEN」に似た系統だったり、ジェフリー・ディーヴァーやジャック・カーリィの小説のような感じもしました。(小説は全く詳しくないんでわかる範囲での印象なんですが……)登場人物がセブンのオチについて言及するシーンがあるのである程度意図的にそういう設定にしているのかもしれませんが。
どこかで見たことのあるような舞台設定だったり人物設定だったりではあるのですが、続きが気になるところで1つのセクションが終わり日記パートと現実パートが切り替わるリズムがとても良く、残酷描写もエグすぎずほどほどにエグい感じで「怖いけど読まなきゃ」とさせられるような絶妙な表現で良かったです。(嫌悪感ギリギリを縫ってくる素敵な翻訳でした。)
特に「犯人が死ぬ」というスタートなので、「犯人不在→警察が自力で全ての謎をとく必要がある」という状況です。大量の謎の1つ謎が解けかけると新たな謎が浮かび上がってきて、日記の内容もどんどん不穏になっていく……という開幕で大量の謎に塗れた展開に一気に引き込まれました。終盤に謎が少なくなったんで謎解き好きな私としては失速した感は否めませんが、展開上仕方ないのかなとも思います。
秋の夜長に、スリラー小説・ミステリ小説はいかがでしょうか。
それではまた。
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