【読書】バッド・カントリー
お世話になります。El Pinoです
「バッド・カントリー」(C・B マッケンジー著/ ハヤカワ・ミステリ文庫)を読みました。
アリゾナ州、メキシコ国境にほど近いの荒野"El Hoyo(穴)"に老犬と共に住むその日暮らしな私立探偵ロデオ・グレイス・ガーネットがとある少年の射殺事件の調査を依頼されるうち、より大きな事件に巻き込まれていく……という感じのハードボイルドミステリ。
けっこう前に買ってはいたのですが、忙しかったり読みにくかったりで随分時間がかかってしまいました。
構成は面白いし、キャラクターも不自然にならない程度に個性的で魅力があるし、先住民居住区やアメリカ/メキシコ国境など舞台設定も興味深かったりなんですが、兎に角読みにくい翻訳でした。
セリフが鉤括弧で囲われない文体が慣れるまで読みにくいのと、途切れ途切れで読んでいたのでなかなか登場人物が覚えられず(同じ苗字の登場人物が登場しがちなのが余計に覚えづらい)、結構引っかかりながら読むかたちになってしまいました。文体に慣れ、人物が把握できたのは中盤くらいまで読んでからだったんですが、物語もイントロを抜けて展開していく段に入っていたこともあり、中盤以降は読みにくさも気にならず面白く読めました。
主人公のロデオはかつてはロデオ競技のスター選手だったという設定なので普通の人間よりは強いのでしょうが、別にすごく強いというわけではなく、アウトローな雰囲気も纏ってはいるものの結構ちゃんとした生活をしていて、スーパーヒーローでも名探偵でもワルでもない、「ただうまく社会の流れに乗れなかった男」という感じが魅力的だなと思いました。
比較的丁寧に描かれる街や店の様子は、見渡す限り荒涼としたドライな風景が広がる舞台に対し、物語に登場しない人々もそこにしっかり描きこまれているようなウェットな生活感があり、しっかりと作り込まれたオープンワールドのゲームをやっているような、舞台への愛を感じました。
それではまた。
ギャラリーページ | Behance | Instagram
Hoimi | スズリ | Lineクリエイタースタンプ